9 月 17 日、ドイツ北海に位置する He Dreiht 洋上風力発電所が落成式を実施した。
このプロジェクトには目を引く数値がある。総出力 960 メガワットである。
Vestas 社製 V236‑15.0 MW ユニットが 64 基導入され、すべて 15 メガワット級の機種だ。
プロジェクト公開情報によると、発電所がフル稼働した後の年間予想発電量は約 36 億キロワット時に達し、約 110 万世帯分の年間電力消費量に相当する。
だが、この出来事で本当に注目すべき点は「15 メガワット風力タービンが 64 基」という点だけではない。
2025 年 11 月の段階で、He Dreiht プロジェクトの初号機はすでに電力系統へ送電を開始し、その後続々と機器の据付と系統連系が進められ、今年 9 月に発電所全体が正式に落成した。
これは明確な変化を示している。
15 メガワット級洋上風力タービンが、単体での高出力実証段階から商業風力発電所での活用段階へ移行したのだ。
国内の大メガワット級洋上風力タービンもさらなる高出力化を続けている。
今年 2 月、三峡集団と金風科技が共同開発した 20 メガワット洋上風力タービンが福建省南部海域で調整・系統連系を完了した。公開報道によれば、これは世界初となる 20 メガワット洋上風力タービンの洋上での系統連系発電実績である。
風力タービンは 5 メガワットから 15 メガワット、さらに 20 メガワットへと進化してきた。
数値上は単に出力が大きくなっただけに見える。
しかし変換器にとって最初に実感するのは「出力」という言葉ではない。
電流が大きくなることだ。
風車のブレードが回転すると発電機が発電を開始する。
直駆、半直駆などの可変速型風力タービンの場合、風況に応じて発電機の回転数が変動するため、機側の交流電力の周波数と振幅も変化する。
一方、電力系統には固有の電圧・周波数および系統連系の要件が定められている。
そのため、中間に変換器を配置し電力変換を行う必要がある。
簡単に表現すると以下の通りである。
発電機 → 機側変換器 → 直流母線 → 系統側変換器 → 電力系統
このプロセスにおいて、電流は極めて重要な測定量である。
出力レベルが上昇すると、なぜ電流も増大するのか。
基礎的な関係式は依然として以下の通りである。
\(P ≈ U × I\)
電圧プラットフォームが概ね一定の場合、出力が大きくなるほど対応する電流レベルも上昇する。
もちろん実際の風力タービン用変換器は、この計算式だけで完結するわけではない。
設計者は電圧レベルを引き上げることで電流を抑えることができ、機種ごとに採用される発電機、変換器トポロジー、パワーデバイスの仕様も異なる。
つまり、15 MW だからといって特定の測定点が必ず 15 MW に対応した電流になるわけではない。
真に再評価が必要なのは、変換器内部の各測定点で、実際にどれだけの電流を測定する必要があるのかという点である。
これが大メガワット風力タービンが電流検知にもたらす第一の変化だ。
変換器内部には単一の電流だけが流れているわけではない。
機側、系統側、直流リンク、補助回路など、位置が異なれば電流レベルもそれぞれ異なる。
そのため 15 MW 風力タービンだからといって、内部のすべての電流センサーを数千アンペア以上のレンジにする必要はない。
例えば主電力回路のある測定点が 2000A 級の場合、センサーにまず求められるのは「2000A を安定して計測できるか」である。
一方、実際の測定点の電流が数百アンペアしかない場合、数千アンペア対応の大型センサーを使用すると、むしろ新たな課題が生じる。
レンジを大きくすると、体積・重量・実装スペース、さらにコストも増大するからだ。
このことから、大メガワット風力タービンの電流検知はますます「レンジを使い分ける」プロセスになっている。
これが大型風力タービン用変換器の内部に、仕様の異なる複数の電流センサーが搭載される理由である。
各測定点では、必要とされるレンジ、帯域幅、絶縁、寸法の要件がそれぞれ異なる。
変換器の主電力回路における電流検知では、定格動作電流だけを見てはいけない。
実際の運転では電流の動的変動、過負荷、制御過程における電流変化が発生するからである。
測定点が 2000A 級の場合、閉ループホール素子方式は有力な選択肢の一つとなる。
芯森(CHIPSENSE)の CM5A 2000 H21 は、2000A 級に対応した製品の一例である。
一次側定格電流は ±2000A、測定範囲は ±4250A、精度は ±0.3% IPN、帯域幅 150 kHz、応答時間約 0.5 μs、動作温度範囲‑40℃~85℃である。
これらのパラメータで重要なのは、単純に数値の大きさを競うことではない。
以下の工学的課題に答えることである。
センサーの選定は、ここから「定格電流」を超えた真の工学的マッチングの段階に入る。
測定点の電流が 2000A を超える場合、2000A 級のセンサーを使い続けるのは適切ではない。
この場合、より大きなレンジの製品を検討する必要がある。
芯森の CM9A シリーズは 1500A、3500A、5000A など複数の定格電流をラインナップし、風力発電用インバータ・風力用変換器向けに設計されている。
例えば CM9A 3500 H00 は、定格電流 3500A、測定範囲 ±4500A、精度 ±0.3%、帯域幅 100 kHz の仕様である。
この種の製品が解決するのは、測定点が 3500A 級に達した際に、センサー自体のレンジと動的範囲を確保する課題である。
したがって正しい選定方法は「15 MW 風力タービンだから 2000A または 3500A のセンサーを選ぶ」ではない。
まず各測定点の通常電流、過負荷電流、動的範囲を確認し、そこからセンサーの定格電流と測定範囲を逆算することである。
15 MW という数値が示しているのは、変換器内部の電流レベルが全体的に上昇している事実だ。
実際にどのレンジを採用するかは、測定点ごとに判断しなければならない。
一方、数百アンペア級の測定点では、開ループホール素子方式も活用される。
芯森 HS1V H12 シリーズは 50A~600A の各定格電流を揃え、精度 ±1% IPN、帯域幅 50 kHz、応答時間約 3~5 μs、動作温度‑40℃~105℃、製品重量は約 65 グラムである。
先述の CM5A シリーズとの最大の違いは特定のパラメータではなく、体積と重量である。
約 65 グラムのセンサーと 1 キログラムを超えるセンサーでは、実装条件が全く異なる。
そのため補助変換器、補助電源、数百アンペア級の分岐回路などでは、開ループホールセンサーにも十分な活用の余地がある。
ここから導かれるのは、大メガワット風力タービンのセンサー選定は単純に「すべてを大きくする」ものではないという事実である。
大電流測定点ではレンジの課題を解決し、小電流測定点では仕様の適合性を追求することが求められる。
大メガワット風力タービンでもう一つ注目すべき課題は、変換器の電圧レベルと絶縁設計である。
単純に「電圧が高くなったから耐圧数値の大きいセンサーを選ぶ」と考えてはいけない。
真に考慮すべきなのはシステム全体の絶縁協調である。
具体的には、使用電圧、過電圧カテゴリ、汚染度、電気的ギャップ、沿面距離、固体絶縁、耐電圧試験の要件などが含まれる。
また、センサーをどこに実装するかも重要な要素となる。
例えば CM5A 2000 H21 の交流絶縁耐圧は 6 kV/50 Hz/1 分、1.2/50 μs サージ耐電圧は 23 kV である。
これらの指標は数値が大きければ良いわけではなく、実装箇所の絶縁要件を満たせるかどうかがポイントである。
HS1V シリーズについても同様に、絶縁性能や動作温度には適用限界が存在する。
同一の風力タービン変換器に仕様の異なる複数のセンサーを搭載することは妥協ではなく、むしろ測定点ごとに工学設計を行った正常な結果といえる。
ここまで電流について述べてきたが、変換器にはもう一つ重要な測定量が存在する。直流母線電圧である。
過電圧・不足電圧保護、制御戦略、一部の電力計算には、直流母線電圧を正確に把握する必要がある。
システムが 1500V クラスの直流母線を採用する場合、電圧センサーの選定もこの電圧プラットフォームに合わせて再評価しなければならない。
芯森 VN4A 1500 M15 は 1500V クラスの閉ループホール式電圧センサーのソリューションである。
定格測定電圧 1500V、測定範囲 ±2250V、精度 ±1%、帯域幅 14 kHz、動作温度‑40℃~85℃の仕様を持つ。
この素子は単純な抵抗分圧方式とは動作原理が異なる。一次側の測定電流により磁界を生成し、ホール素子で検知し閉ループ補償を行う仕組みである。
そのため測定対象電圧、入力側測定回路、センサー、出力信号、制御システムまでの測定リンク全体を総合的に検討する必要がある。
特に入力側測定抵抗の抵抗値、精度、温度ドリフト、消費電力は最終的な測定結果に影響を及ぼす。
つまり直流母線電圧の検知においては、センサーの公称精度だけを見て判断してはならない。
センサーと周辺測定回路は一つの完全な測定システムとして扱う必要がある。
なお 1500V は一例であり、実際の風力タービン変換器の直流母線電圧は機種とトポロジーによって異なる。
ここまでの内容をまとめると見えてくる。
風力タービンが 5 MW から 15 MW、20 MW へ進化すると、まず変化するのは装置全体の出力レベルである。
電圧プラットフォームが一定の場合、出力の上昇は電流レベルの上昇を意味する。
だからといって、すべてのセンサーを一斉に大型化する必要はない。
真の変化は、各測定点の要求仕様の階層がより明確になったことだ。
さらに洋上風力発電の環境では、多湿、塩害、温度変動、長期的な機械振動などの過酷な運転条件に耐える必要もある。
そのためセンサーが「今現在正確に測れる」ことは出発点に過ぎない。
真の工学的課題は、長期間の運転環境下でも測定精度を維持し続けられるかどうかにある。
これが大メガワット風力タービンが商業風力発電所で活用され始めた今、電流検知に求められる本当の変化である。
数百キロワット、数メガワットクラスの機器を議論していた過去においては、多くの場合「このセンサーは何アンペアまで測れるか」が最初の検討項目だった。
しかし 15 MW、さらには 20 MW 級の風力タービンでは、この問いだけでは不十分である。
以下の項目をさらに細かく分解して検討する必要がある。
その上で、どのレンジのセンサーを選択するかを決定する。
つまり「15 MW」という数値が、特定のセンサー型式を直接指定するわけではない。
変換器全体の電流検知に関する設計計算書そのものが変わったのだ。
数百アンペアから 2000A 級、さらに 3500A 級以上へ。大メガワット風力タービンにより、電流検知は明確なレンジ別選定のフェーズに入った。
風力タービンは今後も 20 MW、25 MW、さらなる高出力へ進むだろう。
だが、ナセルや変換器内部のスペースは、メガワット数の上昇に伴って無限に広がるわけではない。
これこそが大メガワット時代の電流検知における真の「シフトチェンジ」の要点である。
単純にセンサーを大きく作り続けるのではなく、限られたスペースの中で、各測定点に最適な計測を実現することだ。
※本文中の芯森製品のパラメータは各製品仕様書を優先する。風力タービンの機種により発電機形式、変換器トポロジー、電圧レベル、測定箇所、実装条件は異なるため、実際の選定は個別システムのパラメータを確認した上で実施すること。